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「取り上げた制御因子間の交互作用が小さければそれ以外の制御因子間の交互作用も小さい」という考え方に根拠はあるのか? [【その他の品質工学関連】]

2018年4月8日
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「取り上げた制御因子間の交互作用が小さければそれ以外の制御因子間の交互作用も小さい」という考え方に根拠はあるのか?
単なる「個人の感想」?

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品質工学会誌( 品質工学会誌,Vol.2,No.1,pp4)の田口玄一,「実験計画法と品質工学」より引用です。
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異質の条件である下流条件での再現性(機能性改善の再現性)を研究室の条件でチェックしたことになる。異質の条件といっても複数の変数が変わっているだけである。研究室でできるだけ多くの制御因子をとり上げ、それらの間に交互作用が小さいか無ければ、それ以外の(制御)因子との間にも交互作用は小さいか無い、と考えていることになる。
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『・・・と考えていることになる』とあります。

何故『・・・と考えていることになる』のか、その根拠が示されていません。
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この考え方が変な理由を述べます。

例えば、L18直交表の実験をして、このような要因効果図を得たとします。
制御因子AとBの交互作用は大きくて、
制御因子CとDの交互作用は小さい、
ということは普通にあります。
例えば↓
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例えば、
利得の再現性が悪かった場合、
交互作用が大きいと思われる制御因子を固定し、再実験することがあります。
(つまり、交互作用を無くすトライをしたということです)
その結果、
利得の再現性が良好になれば、その制御因子が原因で交互作用が大きかったということです。
それはつまり、その他の制御因子間の交互作用は小さかったということです。

このように、
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制御因子間の交互作用が【大きい】組合せもあれば、
制御因子間の交互作用が【小さい】組合せもあれば、
制御因子間の交互作用が【中程度】の組合せもある。
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と考える方が自然です。

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ということで、
田口玄一氏の考え方「取り上げた制御因子間の交互作用が小さければ、それ以外の制御因子間の交互作用も小さい」は、にわかには信じ難いです。

例えば↓
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例えば、制御因子が多く(16個)あり、L18直交表実験を2セット実施したとします。

1セット目(制御因子はA〜H)で実験し、要因効果図を得ました。
2セット目(制御因子はI〜P)で実験し、要因効果図を得ました。

1セット目(制御因子はA〜H)で、交互作用が小さかったからといって、
2セット目(制御因子はI〜P)で、交互作用が小さくなると言えるでしょうか?
この絵のように、2セット目に交互作用が大きい組合せが存在する可能性は十分にあります。

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田口玄一氏の考え方には、↓のように飛躍し過ぎているものがあります。
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・「交互作用が小さいと、その他の制御因子間の交互作用も小さい」※【今回紹介した考え方】
・「交互作用が大きいと、下流で不安定なシステムである」
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きちんと論理的に説明がされているのであれば問題ありません。
きちんと論理的に説明がされていないのであれば、その考え方は単なる「個人の感想」という可能性もあります。

よって、この種の考え方に振り回されないように注意が必要です。

自分の頭で考え、自分の言葉で説明できるのならいいのですが、
自分の頭で考え、自分の言葉できちんと説明できないのなら、その考え方を周囲に広めるのは、控えた方がよいと思います。
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